『SMARTレジン』と他社製品の性能比較評価結果(評価者:熊本大学発生医学研究所 染色体制御分野)
『SMARTレジン』は、欧米の主要な抗体製造業者にも採用されている高品質なレジンです。高い品質に加えてコストパフォーマンスにも優れ、安定した実験結果を維持しながらランニングコストを抑えることが可能です。今回は、生物学実験におけるその有用性について、熊本大学 発生医学研究所 染色体制御分野(石黒研究室)にご評価いただきました。
- ご評価いただいた研究施設:熊本大学発生医学研究所 染色体制御分野(石黒研究室)
- ご評価いただいた製品:Smart-Lifesciences社 Anti-DYKDDDDK Magarose Beads
- ご評価いただいた実験系:HAタグとFLAG®*/ DYKDDDDKタグを付加したタンパク質を発現するノックインマウス由来の精巣ライセートを用いた免疫沈降
(*FLAG® は、Sigma Aldrich 社の登録商標です。)
【実験の流れ】
- 精巣ライセートとAnti-DYKDDDDK Magarose Beadsを混合し、ローテート(4℃, 2時間)
- Low Salt Bufferによるウォッシュ
- Low Salt Buffer組成
- Tris-HCl (pH 7.5): 20 mM
- KCl: 100 mM
- EDTA: 0.4 mM
- TritonX100: 0.1 %
- β-mercaptoethanol: 1 mM
- Glycerol: 10 %
- ビーズと100 μg/mL FLAG®ペプチド/ Low Salt Bufferを混合し、ローテート(4℃, 5分間)後、上清(溶出サンプル)を、マグネティックスタンドを用いて回収
- 溶出サンプルをHAビーズと混合し、ローテート(4℃, 1時間)
- Low Salt Bufferによるウォッシュ
- Acid Glyecine を加え、インキュベート(室温, 2分間)後、直ちに1M Tris-HCl (pH8.0) を10分の1量加えて中和
- Acid Glyecine (pH 2.8)組成
- Glycine-HCl: 100 mM
- NaCl: 150 mM
- Acid Glyecine (pH 2.8)組成
- SDS-PAGE、ウェスタンブロッティングによる確認
図:免疫沈降サンプルのウェスタンブロッティングの結果
検出にはタグを付加したタンパク質そのものに対する一次抗体および二次抗体を使用
手法の詳細は Tani et al, STAR Protocol 2022
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S266616672200332X?via%3Dihub
【結果】
- Smart-Lifesciences社 Anti-DYKDDDDK Magarose Beadsは、FLAG®/ DYKDDDDKタグを付加したタンパク質の免疫沈降に有用である。
- FLAG®ペプチドを用いての溶出効率も良い。